代理とは
意思表示の効果が、直接ほかの人に帰属することを言います。
例
Aさん(本人)がBさん(代理人)にAさんの代わりにCさんと売買契約を結んでください。売買契約自体はBC間での契約ですが、BさんはAさんの代わりなので、実際は、AC間で売買契約を結んだことになる。
代理には、2つの種類があります。
任意代理と法定代理です。
任意代理は、本人の意思に基づく代理です。委任契約や雇用契約に伴って行わる。
法定代理は、法律の規定を根拠として発生する代理です。制限行為能力者のように裁判所によって選任される場合もある。保護者なども含まれる。
代理人には、意思能力さえあれば誰でもなることができます。ただし、制限行為能力者などを代理人としてもその行為は取り消すことができません。
代理人の効果
代理人の代理効果が本人に帰属するには、
代理権が存在すること
代理行為であることを本人・相手方に意思表示し顕名すること
この2つが必要です。
代理権の消滅
代理権が消滅する要件は4つあります。
- 死亡した場合
- 後見開始した場合
- 破産した場合
- 解約通知をした場合
1.死亡した場合
死亡した場合、代理権は相続はできません。
死亡した場合、すべての代理権は消滅します。
2.後見開始した場合
後見開始した場合は、代理人の代理権は消滅します。
3.破産した場合
任意代理の本人・代理人、法定代理の代理人の代理権は消滅します。
法定代理人本人の代理権は消滅しないので注意です。
4.解約通告をした場合
任意代理人は、代理権は消滅しますが、法定代理人は消滅しません。
復代理人
復代理人とは、代理人から代理人を選任することです。
要するに、代理人の代理人です。
任意代理で復代理人を選任するには、本人の許諾またはやむを得ない事情があった場合に限られます。
法定代理は、復代理人を自由に選任することができます。
復代理人は代理人の代理権の範囲内でしか行うことができません。もし、範囲を超えた場合は、無権代理となります。
代理人は、復代理人を選任しても代理権は消滅しません。代理人の代理権が消滅すると復代理人の代理権も同時に消滅します。
復代理人の行為に責任を負うのは、本人に対して責任を負います。本人指名で復代理人を選任したときは代理人は責任を負いません。
法定代理の場合は、復代理人に過失があれば本人が責任を負う必要があります。やむを得ない事由がある場合は、選任と監督責任のみ負います。
代理人が行える範囲
任意代理には、3つの行為を行うことができます。
- 保存行為(現状維持する行為)
- 利用行為(収益を図る行為)
- 改良行為<(価値を増加させる行為)/li>
その一方で、法定代理人は、代理権の範囲が定められています。
代理の禁止
代理権を得たうえで2つの禁止事項があります。
- 自己契約
- 双方代理
自己契約は、本人から代理権を与えられたにもかかわらず、利益が出そうな契約をする恐れがあるため禁止とされています。
双方代理は、本人から代理権・相手方から代理権を与えられた場合で、代理人の利益になるように仕向ける恐れがあるため禁止とされたいます。ただし、本人・相手方から許諾があれば双方代理は可能です。
代理人として契約するための必要事項
契約の効果を本人に帰属するためには、顕名することが必要です。
顕名をしなければ、契約したものは代理人に帰属し代理行為とはなりません。ただし、相手方が代理人だと知っている場合や知ることができるときは、契約の効果は本人に帰属します。
代理人が詐欺や脅迫された場合
代理人が詐欺や脅迫を受けた場合は、契約を取り消すことができます。
ただし、取り消すことができるのは本人になります。取消権を本人から与えられた代理人は代理人が取り消すことができます。
無権代理
無権代理とは、代理権が無いにもかかわらず代理行為を行うことです。
無権代理行為は、効果は本人に帰属しません。本人が承認した場合に限り、その効果は本人に帰属します。
無権代理行為の相手は、本人に追認をするように催告することができます。期間内に本人から返答がなかった場合は追認を拒絶したものとみなされます。
無権代理人と契約した相手は、善意無過失であれば履行請求または損害賠償請求することができます。
無権代理の後に本人が死亡した場合は、無権代理人と相手方の契約は有効となり履行義務があります。
本人が追認を拒絶した場合、契約は無効になります。
無権代理の後に無権代理人が死亡した場合は、本人が無権代理を相続したとき追認拒絶権を行使できます。
しかし、死亡する前に相手方から損害賠償請求をされていた場合は、善意無過失の相手方に対して責任を負う必要があります。
表見代理
表見代理とは、自分が代理人かのようにふるまい相手方を信じさせて取引をする代理人です。
- 本人が代理権を与えたといいながら実際には与えていなかった場合
- 代理権の範囲を超えた場合
- 前に存在した代理権が消滅した場合
この3つの場合相手方は、保護されます。