自ら売り主制限とは、不動産のプロである宅建業者が売り主となる場合、買主に対して損を与える可能性があるので民法よりも厳しく規制をかけて買主を保護しようという制限です。
宅建業法と民法とごっちゃにならに様に注意しながら覚えていきましょう。
クーリング・オフ
売り主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合、契約を一方的に解約できる制度をクーリング・オフと言います。
クーリング・オフは書面で行わなければなりません。
契約の解除の効力は、書面を発した時に生じます。
売り主は、受領した手付金など返還しなければなりません。しかし、違約金や損害賠償請求をすることはできません。
次に、クーリング・オフをする際、契約する場所が重要になります。
クーリング・オフは、事務所等で買い受け申込または売買契約を締結した場合が適用されます。
事務所
継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外の場所
一団の宅地建物の分譲を行う案内所
売却する宅地建物の代理や媒介の依頼を受けたほかの業者の事務所または継続的に業務を行うことができる施設を有する事務所以外の場所
一団の宅地建物の分譲の代理や媒介の依頼を受けたほかの業者の案内所
たくけん業者が案内所等で売買契約に関する説明をした上で移動先の宅地建物のに関する展示会場または催事場
相手方が宅地建物の売買契約に関する説明を受ける旨をもし出た場合におけるその相手方の自宅または勤務先
このような場所で売買契約を締結した場合は、クーリング・オフができません。
専任の取引士(土地に定着していない案内所は除く)がいるところや自分から自宅または勤務先で売買契約を締結した場合以外は、クーリング・オフができるということです。
間違えやすいので注意です。
クーリング・オフができる期間は、一定事項が書面で交付された上で、申し込みの撤回等をを告げられた場合、その告げられた日から起算して8日(その日を含めて)を経過したらできません。
両方の条件を満たした場合クーリング・オフはできません。
- 宅地または建物の引き渡しを受けた
- 代金の全部を支払った
効力は書面を発したとき!
買い受け申込をした場所が要点!
クーリング・オフができない場合を覚えておく!
手付の額・性質の制限
宅建業者が買主から得た手付は、解約手付となります。買主に不利な内容の特約は無効で、手付額の上限は契約金額の20%までです。
契約を解除する場合は、買主はその手付を放棄して、売り主は、手付の倍額を償還して契約を解除することができます。
宅地が1000万円を契約した場合、買主は手付として200万円渡します。
- 買主から契約解除 先に渡した200万円を渡す代わりに契約を解除します。
- 売主から契約解除 手付貰った200万円を返してさらにあと200万円返して契約を解除します。
手付金等の保全措置
手付金等の保全措置は、宅建業者が経営不振などに陥って買主から受領した手付金を返せなくなる恐れがあるため、それに備えた買主を保護するための措置です。
もちろん営業保証金もありますが、それだけでは賄いきれないかもしれません。
そんな状況に備え、銀行や保険事業者が保証します。
保全措置なしに手付金等を受領できる場合
- 完成物件が1000万円以下で手付均金等が10%以下
- 未完成物件が1000万円以下で手付均金等がの5%以下
- 買主が所有権登記をしたとき
宅建業者が保全措置を講じない場合は、買主は手付金等を支払う必要はありません。
損害賠償額の予定等の制限
宅建業法では、売り主が宅建業者・買主が宅建業者以外の場合、損害賠償の上限額は20%と決められています。
20%以上の代金を受け取った場合超える部分が無効となります。
自己の所有でない物件の売買契約制限
宅建業者が売主、宅建業者以外が買主の場合、自己所有に属しない不動産の売買契約を行うことが禁止されています。
- 他人の所有のもの
- 未完成物件
この2つのものは取引が原則禁止されています。
3つの例外
- 宅建業者が物件を取得する契約を締結している場合(停止条件は除く)
- 宅建業者が物件を取得することが明らかな場合
- 未完成物件であっても保全措置・補償保険契約が講じられている場合
瑕疵担保責任についての特約の制限
瑕疵担保責任は、買主が不利にならないようにするためのものです。
買主にが不利になる特約は無効とされます。
不動産を引き渡した時から2年間責任を負わなければなりません。
民法上は、瑕疵の事実を知った時から1年間。買主は善意無過失でなければなりません。
流れとしてはこんな感じです。
- 瑕疵担保責任は引き渡しから2年間
- 買主に不利な特約により契約無効
- 民法適用
- 瑕疵の事実を知った時から1年間
なんの問題もなければ1で終わります。もし、買主に不利ことがあった場合民法適用となり4が責任を負う機関になります。
割賦販売契約の解除等の制限
割賦販売契約は、分割払いの事です。一般的な住宅ローンを考えるとわかりやすいですよね。
買主が住宅ローンを支払わない場合は、すぐには契約を解除することができません。
30日以上の期間を定めて書面で催告し、その後も支払いがない場合に契約を解除することができます。
もしくは、残りの回の賦払金の全額請求ができます。
買主が、支払わなかった場合、この特約は無効となります。
所有権留保等の禁止
不動産を引き渡しても売り主が所有権を一定基準で渡しましょうということです。
売主は、不動産を引き渡す義務。買主はお金を支払う義務があります。
売主は、買主が本当にお金を支払ってくれるか不安な部分があるので、代金の30%を受け取るまでは、所有権留保することができます。
売主・買主のリスクを軽減するための特約です。
まとめ
この8種制限は、売主が宅建業者・買主が宅建業者以外ということが前提です。
売主・買主が宅建業者の場合は、この制限は適用されませんので注意です。