区分所有法

区分所有法は、マンションのように1つの建物を区画割して所有権を定め、共有部分に関しては共同管理することを定めた法律です。
個別に所有できるところは所有して、みんなで使うところは仲良く使いましょうということです。

区分所有者

区分所有権を有する者を区分所有者といいます。
区分所有権とは、1棟の建物で居住や事務所・店舗などの独立した所有権のこと。

マンションの1室の持ち主は区分所有権者と考えたらわかりやすいですよね。
議決権は、区分所有者の専有部分の床面積の持分割合により決まります。

専有部分とは、区分所有権の目的となる部分で構造上・利用上独立している部分。
マンションの1室など
共有部分とは、専有部分以外の部分で共同して使う部分。
エレベーターなど

共有部分の管理

共有部分の管理要件は、共有と行為自体は同じです。ただし、規模が大きくなるのでもっと細か要件がに定められています。
保存行為は各区分所有者が単独で行うことができます。
管理行為は各区分所有者及び議決権の各過半数による集会の決議によって決められます。
変更行為は軽微変更と重大変更に分けられます。
軽微変更とは、形状または効用の著しく変更を伴わない変更を言います。軽微変更行為は、区分所有者及び議決権の過半数による集会の決議によって決められます。

重大変更とは、形状または効用の著しく変更が伴う変更を言います。重大変更行為は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議によって決められます。(規約の定めにより区分所有者の定数のみ過半数まで減らすことができる)

敷地利用権

敷地には、法定敷地と規約敷地があります。
法定敷地は、マンションなど区分所有建物が立っている土地のことです。
規約敷地は、区分所有建物およびその駐車場など、規約によって決められた土地のことです。
敷地利用権は、専有部分を有するための建物の敷地に関する権利のことです。(所有権や地上権など)
敷地利用権は、専有部分の床面積の割合によって決まります。
敷地利用権は、原則として分離して売却することができず、売却するのであれば専有部分と合わせて売却しなければなりません。(規約で定めれば分離して売却可)

管理組合と責任者

区分所有建物の管理は、管理組合が行います。
管理組合とは、建物や敷地・付属施設の管理を行う団体のことです。
管理組合の構成員は、区分所有者全員を対象とします。
よって、区分所有建物を購入した時点で自動的に管理組合の構成員となります。
管理組合を法人化するには、区分所有者の各3/4以上の決議権の賛成と事務所の所在地の時をすることで法人化できます。法人化した場合、理事(
業務執行)と監事(監督)を設置し管理者は不要となります。

区分所有者全員が集まらない場合は、集会の決議によって管理者を決定します。管理者は、共有部分、共有の敷地・付属施設の管理や集会の決議の実行を行わせることができます。

マンション内での規約

共同生活する一定のルールを規約といいます。
規約を設定するには、区分所有者及び議決権の各3/4以上の賛成が必要です。規約の設定が区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす場合や規約の変更・廃止を行う場合は承諾を得なければなりません。

公正証書による規約の設定

建物の専有部分を全部を所有するものは公正証書によって単独で規約を定めることができます。

  • 規約の共有部分
  • 規約敷地
  • 専有部分と敷地利用権の分離処分を許すこと
  • 各専有部分に対応する敷地利用権の割合

登記することによって第三者対抗することができます。

規約の保管

規約は、書面またはパソコンなどにより作成し管理者が保管しなければなりません。
管理者がいない場合は区分所有者または代理人で規約または集会の決議で定めるものが保管します。
区分所有者や利害関係人が閲覧できるように、見やすい場所に掲示しなければなりません。(通知の必要なし)

保管義務・閲覧義務違反は20万円未満の過料に処される

集会の招集

集会とは、区分所有者に影響を与えることになるようなことを決める話し合いの場のことです。
管理者は毎年1回集会を招集しなければなりません。(法人の場合は理事が招集)
招集は、1週間前までに会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければなりません。
区分所有者全員の同意がある場合、集会の手続きを得なくても集会を開くことができます。集会で議事録を作成した場合、出席した区分所有者の2人以上の署名・押印が必要になります。

建物の立て替え決議の場合は、2か月前に発しなければなりません。

集会の決議

集会で決議できるのは、招集通知で示した事項を決めることができます。
議決権は専有部分の床面積の割合によって与えられます。賃借人等の専有部分を占有している者に関しては、議決権がありません。ただし、利害関係を有する場合は、集会に出席し意見を述べることはできます。

区分所有者及び議決権の各過半数の賛成で決議を行います。
ただし、特別決議事項はそれぞれの定数で決議を行います。

内容 決議 規約
共有部分の重大変更 各3/4以上の賛成 過半数まで減らす
小規模滅失 各過半数 できる
大規模滅失 各3/4以上の賛成 できない
建替え 各4/5以上の賛成 できない

区分所有者全員の承諾を得れば集会を開催しないで書面またはパソコンデータなどで決議を行うことができます。

決議の効力

区分所有者や賃借人等は、建物や敷地・付属施設の規約や集会の決議に基づいて守らなければなりません。
規約違反者に対して、段階的に裁判所に訴えることができます。(かっこは必要数)

  1. 停止請求(区分所有者1人以上)
  2. 停止請求の訴訟(区分所有者・議決権の各過半数以上)
  3. 使用禁止請求(区分所有者・議決権の3/4以上)
  4. 敷地利用権の競売請求
    賃貸借契約の場合は契約の解除(区分所有者・議決権の各3/4以上)

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